デジタルコンテンツ(静止画、動画および音楽)を世界 100 カ国以上に提供する、世界最大級のデジタルコンテンツカンパニーGetty Images(本社、米国・シアトル)は、独自の分析手法“クリエイティブリサーチ”からビッグデータを分析、世界基準のビジュアルトレンドを導き出した「Creative in Focus(クリエイティブ・イン・フォーカス)2017」を発表しました。VR への期待など、現代の社会背景が反映されたキーワードが選出。

クリエイティブ・イン・フォーカス 2017
著述家・ディレクターとして活躍する湯山玲子氏と、ゲッティイメージズ シニアアートディレクター 小林正明氏

Getty Images では、アメリカ(シアトル・ニューヨーク)、カナダ、イギリス、日本の 5 カ所にクリエイティブセンターを置き、マーケットリサーチを行っています。文化的、広告ビジュアル的、社会的なトレンドを「検索キーワード」、「購入された画像」、「企業ブランドの広告」の 3 つの要素についてビッグデータを元に分析・解析し、世界基準のビジュアルトレンドを導き出し、2013年より毎年「クリエイティブ・イン・フォーカス」として発表しています。

さらに、このトレンド予測を 20 万以上のコントリビューター(写真提供者)に共有して、ユーザーからの需要が高いイメージ(写真・動画)を収集、よりニーズの高いビジュアルコンテンツを提供できる仕組みを作っています。

今年 2017 年のビジュアルトレンドを示すキーワードは、「グリティ・ウーマン」「グローバル・ネイバーフッド」「アン・フィルタード」「バーチュアリティ」「カラー・サージ」「ニュー・ナイーブティ」の 6 つ。世界的に SNS が一般化したことによる情報のボーダーレス化や、VR(仮想現実)の普及への期待など、現代の時代背景が反映されたキーワードとなりました。

各キーワードの特徴と社会背景

■「Creative in Focus 2017」で発表された6つのキーワード

Gritty Woman (グリティ・ウーマン:新フェミニスト宣言)

ここ数年、各時代の女性を象徴するようなテーマが継続して注目されており、新しいタイプの女性が登場しています。慣例や壁を打ち壊すその女性は、タフで粘り強く、真っ直ぐで、基本をおろそかにせず嫌なことからも目を逸らしません。そのため、人から妨げられたり、見下されたり、過小評価されることはありません。一人のファイターであり、フェミニストであり、奇才なのです。グリティウーマンと呼ばれる新しいトレンドは、自分がどのように見えるかよりも、自分が何をするべきかを考えています。

Global Neighborhood (グローバル・ネイバーフッド:グローカリゼーション)

ソーシャル上でつながりが増え、(バーチャルに)ボーダーレスな世界では、出身地はもはや人格的な意味を持ちません。文化的なアイデンティティが、より複雑で不定形なものになっているからです。グローバル・ネイバーフッドとは、こうした流動性を取り込んだ社会を意味します。集団的なアイデンティティが、私たちがどこにいるかよりも、何を信じるかによって形作られることが増えてきたため、このトレンドが生まれました。

Unfiltered (アン・フィルタード:ジャーナリスト目線)

大胆なドキュメンタリースタイルのビジュアルは、広く受け入れられています。アン・フィルタードは、ダイナミックで過激とも呼べるようなストーリーテリングの手法を実現。不必要なノイズを減らし、消費者に気づきを引き起こしました。他と異なることを怖れず、徹底した透明性を持つ情熱的なブランドは、特にジェネレーション Z やミレニアル世代の消費者に共感されます。

Color Surge (カラー・サージ:色に溺れる)

目まぐるしく変化する世の中で、消費者はありきたりの表現に対してうんざりしており、通常とは違った色のコンビネーションを使ったキャンペーンが、人々に関心と興奮を呼び起こします。それは、圧倒的に美しいものであるか、この上ないほど醜いものであるかを問いません。色を巧みに使った力強さが、関心をもたらします。

New Naivety (ニュー・ナイーブティ:写真で遊ぼう)

ニュー・ナイーブティとは、自然発生的で遊び心がありながら、ときに不快さを含むビジュアルのことです。それは、必ずしも“ブランドに当てはまる”ビジュアルではなく、風変わりだったりもします。今こそ奇妙で野暮ったくなることを怖れず、みんなを笑わせましょう。

クリエイティブ・イン・フォーカス 2017 発刊記念
ゲッティイメージズと湯山玲子氏によるスペシャルトークセッションレポート

「クリエイティブ・イン・フォーカス 2017」 発刊記念イベントとして、著述家・ディレクターとして活躍する湯山玲子氏と、ゲッティイメージズ シニアアートディレクター 小林正明によるプレス関係者向けのトークセッションイベントを、2 月 27 日(月)に表参道・TRUNK(HOTEL)開業準備室で開催いたしました。トークセッションのテーマは「ビジュアルにトレンドは必要か」。ビッグデータから導き出されたビジュアルトレンドキーワードが実際の社会とどう結びついているかについて、各キーワードの特徴と社会背景を交えてトークが展開されました。

◆VR の登場でビジュアルコミュニケーションが大きく変化する

クリエイティブ・イン・フォーカス 2017

小林:「ビジュアルコミュニケーションは、極端に言うと2万年前のラスコーの壁画がはじまりなんですよね。これから 2 万年後、どんなビジュアルコミュニケーションがあると思いますか。今年のビジュアルトレンドのキーワードに、新たな写真体験を表す「バーチュアリティ」がありますが、VR はビジュアルコミュニケーションを“見る”記憶から“体感する”記憶に変えてしまいます。VR が登場した 2017年前後は、ラスコーの壁画と同じようにこの先の未来で語られるほどのインパクトがあると思っています。」

湯山氏:「VR はエンターテイメントとして魅力的な反面、社会の構造を変えてしまうような怖さも感じています。消費や恋愛の方法も変わってしまうかもしれませんね。」

クリエイティブ・イン・フォーカス 2017

◆女性に勇気を与えるビジュアル表現

Q.現代の女性を表現するキーワードとして「グリティ・ウーマン」があります。グローバルなビジュアルトレンドキーワードですが、日本でもあてはまるのでしょうか?

湯山氏:「グリティ・ウーマンには、『女はつらいよ」という言葉が浮かんでしまうくらい、自立した勇敢な女性のイメージを持っています。現代の女性は夢を持つことも難しく、結婚という楽園に逃げることもできない本当に大変で厳しい環境にいます。そんな中で、女性に強く生きていく勇気を与えてくれる表現としてばっちりですね。ただ、日本ではあまり見られない広告表現ですね。」

小林:「私たちはジェンダーマイノリティの社会進出が大切であると考えています。日本でも少しずつ具体的な取り組みは始まっているようですが、実際のところはまだ格差があるのではないでしょうか。例えば、“我々はそのような女性を支援する企業です”というメッセージを広告として発信することも一つのビジュアルコミュニケーションです。そういった企業をゲッティイメージズがビジュアルコンテンツで支援できればと思います。」
クリエイティブ・イン・フォーカス 2017

◆ビジュアルトレンドは、目に見えない世の中の空気を表現し、共感を生むきっかけになる

Q.今回のテーマにも掲げていますが、そもそもビジュアルにトレンドは必要だと思いますか?

湯山氏:「クリエイティブ・イン・フォーカスは広告表現のトレンドの指標かもしれませんが、つまりは世の中の人たちが求める傾向ということですよね。モヤモヤした気持ちや今どきの空気を表現できるのがビジュアルの役割だと思います。ビジュアルだから瞬時に伝わることもあるし、言葉やキーワードが画として見えることで大衆が動くきっかけになるかもしれませんね。」

小林:「トレンドは社会全体がつくっているものであると思います。このクリエイティブ・イン・フォーカスでご紹介しているビジュアルトレンドを、世界中で起きている出来事の中からこれから注視していくキーワードの一つとして、会話のきっかけにしていただければと考えます。」

登壇者プロフィール

著述家、ディレクター 湯山 玲子(Reiko Yuyama)

出版、広告の分野でクリエイティブ・ディレクター、プランナー、プロデューサーとして活動。同時に評論、エッセイストとしても著作活動を行っており、特に女性誌等のメディアにおいては、コメンテーターとしての登場多数。現場主義をモットーに、クラブカルチャー、映画、音楽、食、ファッション等、文化全般を独特の筆致で横断するテキストにファンが多い。

20代の『AneCan』から、50代の『HERS』まで、全世代の女性誌にコラム連載やコメントを多く発表。主な著作に『女ひとり寿司』(幻冬舎文庫)、『クラブカルチャー!』(毎日新聞出版局)、『女装する女』(新潮新書)、『四十路越え!』(ワニブックス)、『ビッチの触り方』(ワニブックス)、上野千鶴子との対談『快楽上等! 3.11以降を生きる』(幻冬舎)、『ベルばら手帖』(マガジンハウス)。月一回のペースで、爆音でクラシックを聴く「爆クラ」イベントを開催中。 (有)ホウ71取締役。日本大学藝術学部文藝学科非常勤講師。

ゲッティイメージズジャパン シニアアートディレクター 小林正明(Masaaki Kobayashi)

ゲッティイメージズ入社以前から長く国境や文化を越えた写真のライセンスビジネスに携わり、80 年代には、H.ニュートン、A.リーボヴィッツ、R.メイプルソープの写真を国内メディアに紹介。90 年代に入ってからは、国内作家のルポルタージュを Life、Smithsonian、Paris Match、Stern、GEO といった海外主要メディア誌に掲載するなど、幅広く活動。西暦 2000 年企画として、Y.A.ベルトラン「空から見た地球」の日本における写真展プロデュース、G.ランシナンの「Urban Jungle」の撮影コーディネートなどに携わる。2004 年 2 月から現職。

「クリエイティブ・イン・フォーカス 2017」 特設サイト公開中

「クリエイティブ・イン・フォーカス 2017」の発表を記念し、特設サイトを開設致しました。ビジュアルトレンドの各キーワードの解説や画像、著名アーティストからのコメントを随時更新。また全文を日本語訳した PDF を無料(要登録)で読むことができます。
【特設サイト】

http://www.gettyimages.co.jp/



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