第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品、中国の名匠ジャ・ジャンクー監督最新作『帰れない二人』が、9月6日㈮よりBunkamuraル・シネマ、新宿武蔵野館にて公開し、9/8(日)に新宿武蔵野館にて、山下敦弘監督(『オーバー・フェンス』)、松江哲明監督(『フラッシュバックメモリーズ 3D』)の映画監督二人がジャ・ジャンクー監督愛に溢れるトークイベントを開催。

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同期で活躍する映画監督として感じたジャ・ジャンクー映画の変化とは?

ジャ・ジャンクー監督の1本目の長編デビュー作『一瞬の夢』は97年の作品だが日本公開は99年、松江哲明監督のデビュー作『あんにょんキムチ』は99年の劇場公開、山下敦弘監督の長編デビュー作『どんてん生活』は99年製作作品だ。

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松江哲明監督

まず、本作の感想を問われると、松江監督は「僕たちはジャ監督とデビューの時期が近いので、同時期に作品を発表してきた監督同士として、同期の感覚を持っていました。でも気づいたら彼はカンヌの常連になっていて…(笑)。国を越えて、どんどん作品のスケールが増していって。本作でもそうですが、それでも変わらないものを撮り続けていることがすごいと思います」と語った。

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山下敦弘監督

山下監督は、「僕も、ポール・トーマス・アンダーソン監督(長編第二作『ブギーナイツ』が98年日本公開)とジャ監督の2人には特に刺激を受けてきましたね。『一瞬の夢』から毎回欠かさず作品を観ているジャ・ジャンクーファンとしては、たまらない作品。初期作品にあったエネルギーがだんだんと洗練されてきて、一見同じように見えるテーマでも全然違う。今回はカメラマンも違う方が担当しているのでより面白く感じました」と語った。

“世界”を描くジャ・ジャンクー映画を見続ける面白さとは?

「2000年代のミニシアター映画の共通言語として“世界”というキーワードがあった」と松江監督は語る。「今どきは、“セカイ系”の映画が多い。一般的な“世界”とは違い、ごく限られた範囲で主人公の内面を掘り下げていくような作品です。ジャ監督のように、社会の片隅にいる市井の人々を通して、“世界”を捉えようとしている監督は、今なかなかいないのではないかと思う」加えて、「中国の急激な発展は目覚ましく、地方都市でさえスケール感がアップしてきている。

ジャ監督の人を見つめる視点は変わらないのに、自然とそんな中国を撮らざるを得ない。中国の社会と監督が撮ってきたテーマがダイナミックに重なってシンクロしてきた感じがする。だからジャ・ジャンクー映画を見続ける面白さがあると思う」

ジャ・ジャンクー監督待望のアクション映画に大興奮!

ジャ監督が初めて裏社会を描いた本作について、山下監督と松江監督は声をそろえて「ジャ監督のアクション、すごく良かった!」と興奮気味に語った。

「ジャ監督が、ジョン・ウー監督、ジョニー・トー監督らの香港ノワール作品から大きな影響を受けてきたのは過去作を観ていても知っていたので、憧れがあってもずっとそのジャンルの映画は撮らないのかな?でもいつか撮ってほしいなと思ってたんですよ」と山下監督。

「『狼/男たちの挽歌・最終章』主題歌のサリー・イップの曲が何度も流れたり、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』へのオマージュがあったり、チョウ・ユンファ主演『愛と復讐の挽歌』の映像が流れてきたもんね。ジャ監督がずっと変わらないのは、ワンショットのなかで現実をそのまま切り取る手法だけど、アクションシーンもそうで、カットを割らずにまるで本当にその乱闘が起きているかのように感じさせられる。それでカットが変わった瞬間にチャオ・タオが銃を一発撃って、何かがキマった!という感じ」と松江監督。「90分にまとめたら石井隆監督っぽいジャンル映画になりそう(笑)。でも、中国社会を平行して描くのが、やはりジャ監督らしさだよね」と山下監督。

「実は『オーバー・フェンス』でジャ・ジャンクーをやってみた」山下監督の突然の告白に会場は大爆笑!

ジャ作品で唐突に誰かが歌ったり踊るシーンが挿入されるのが印象的で大好きだと語る両監督。
「あれって真似できそうで、なかなか真似できないんだよね(笑)。『オーバーフェンス』(16)ではプロデューサーの意向で原作にないダンス(鳥の求愛ダンス)シーンを入れることになったんだけど、実はそのとき、“ジャ・ジャンクーの真似ができる!”と思ったんですよ(笑)。これは誰にも言ってなかったことなんですけど」と山下監督。「ジャ監督が使うベタベタなCGも好きですね(笑)。変にごまかそうとしないというか。山下監督もあえてベタなCGを使うよね」と松江監督。

「やっぱりこの作品でもUFO飛んでたよね!(笑)。“これから何かやりますよー!”っていうCGの使い方が好き。実は、『オーバーフェンス』でも、あえて合成っぽいCGの使い方をしたんですが、もしかするとジャ監督の影響があるかもしれないですね。そして、『実験4号』という短編映画を撮ったとき、遠くでビルが崩壊するシーンを入れたんですが、あれは実はジャ監督の『長江哀歌(エレジー)』をパクリました…(笑)」と、山下監督の突然の告白に、会場は笑いに包まれた。

公開記念イベント第2弾は、本作のプロデューサーであり、先日の第37回川喜多賞を受賞した市山尚三Pが登場!

これまで、ホウ・シャオシェン監督やジャ・ジャンクー監督の映画をプロデュースする一方で、東京フィルメックスのプログラム・ディレクターとしても活動。「映画の道に入って21年。そのうち20年を市山Pと歩んできた」とジャ監督が語る、盟友・市山Pならではの視点で本作の魅力や中国映画界の今について語って頂きます!

トークイベント第2弾【映画関係者が語る!】概要

★日時:9月16日(月・祝)10:30の回上映後&13:20の回上映前   
★場所:Bunkamuraル・シネマ(渋谷区道玄坂2丁目24−1)
★ゲスト:市山尚三プロデューサー

公開記念イベント第3弾は、本作のパンフレット監修を務める、中国現代文学・映画研究の第一人者 藤井省三先生(名古屋外国語大学教授、東京大学名誉教授)が登場!ジャ・ジャンクー監督の作品からリアルな中国社会の現状を読み解きます。本作で描かれる“江湖”とは?日本と中国との裏社会の違いとは?など!より本作への理解が深まるトークイベントです。

トークイベント第3弾【中国のプロが語る!】概要

★日時:9月29日(日)時間未定   
★場所:Bunkamuraル・シネマ(渋谷区道玄坂2丁目24−1)
★ゲスト:藤井省三さん(名古屋外国語大学教授、東京大学名誉教授)

『帰れない二人』

『帰れない二人』STORY

移ろいゆく景色、街、心。それでも愛し続ける。山西省の都市・大同(ダートン)。チャオはヤクザ者の恋人ビンと共に彼女らなりの幸せを夢見ていた。
ある日、ビンは路上でチンピラに襲われるが、チャオが発砲し一命をとりとめる。5年後、出所したチャオは長江のほとりの古都・奉節(フォンジェ)へビンを訪ねるが、彼には新たな恋人がいた。チャオは世界で最も内地にある大都市・新疆(シンジャン)ウイグル自治区のウルムチを目指す。そして2017年がやってくる――。

監督・脚本:ジャ・ジャンクー(『罪の手ざわり』『山河ノスタルジア』) 
撮影:エリック・ゴーティエ 
音楽:リン・チャン 
出演:チャオ・タオ、リャオ・ファン、シュー・ジェン、キャスパー・リャン 

2018 年/135分/中国=フランス/
原題:江湖儿女/
英題:Ash is Purest White
提供:ビターズ・エンド、朝日新聞社  
配給:ビターズ・エンド 
©2018 Xstream Pictures (Beijing) – MK Productions – ARTE France All rights reserved
Bunkamuraル・シネマ、新宿武蔵野館ほか絶賛上映中!

http://www.bitters.co.jp/kaerenai/

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