よき仲間と一緒に働けること



 毎朝、決まって薬を5錠飲む。血圧計で血圧を測る。瞑想をする。白湯を飲む。これが日課だ。ストレスが溜まるように見えるが、瞑想をしてから、意外に積極的に薬を飲み、血圧を測り、専用のノートに記録することをやるようになった。昔の村役場の役人のように、来る日も来る日も同じ時間に出勤して、同じ時間に愛妻が拵えた弁当を食べ、同じ時間に帰宅する。私は、時計のように正確に生活することが夢だったのかもしれないと主てしまう。破天荒に生きている人間ほど、真逆な生活に憧れて生きている。

 最近は、日曜日も祝日もなく働く人たちが増えている。昼と夜が逆転している。社会が求めている人材は、お客側のわがままを全部聞き入れてくれるお店や企業だ。夜中にレストランが空いていたらいいのにな。夜中に雑誌が読めたらいいのにな。正月にお店が空いていたらいいのにな。「その願い、全部叶えましょう」と笑顔で対応する社長や幹部達がいる。しかも、テレビに出て、堂々と宣言する。結果は、社員にしわ寄せが来る。いや、社員でなく、低賃金のアルバイトにだ。低賃金だから、とことん働かされる。「だって安いんだもん」と裏で喜んでいる姿が浮かぶようだ。

 毎朝7時に出勤して、同じように休む暇もなく働く。トイレにだって行く時間がないほど働く。むろん、昼食をのんびり食べている余裕もない。深夜、終電ぎりぎりの電車で帰宅する。「第一、休憩室すらない奴隷以下の環境だから」と独り事をつぶやく。パートタイマーや高校生バイトは、気楽に働いているのに、バイト収入だけで生きている彼らに、休憩とか休みとかいう言葉はない。ただただ、命令されるまま、仕事をし続けるだけ。規則正しく、正確に時間が過ぎていく。チャップリンの「モダン・タイムス」の方が、まだ人間扱いされていた。第一、仲間がいた。

 静岡大学大学院教授の舘岡康雄という方が、『老舗に「日本人」を学ぶ時代へ』というタイトルで、コラムを書いている。そこには、今までと真逆の内容だった。その内容を紹介させていただく。

いいこととは、
よき仲間と一緒にいられること、
よき仲間と一緒に働けること、
そのような豊かな関係性に溢れた
社会が続いていくこと。

だという。仲間のいない会社、社会では、10年20年くらいの短期では成長するが、終焉する。なぜなら、アルバイトもお客様だから。また、こう言っている。

日本人が世界に示す価値は、
技術の高さではありません。
もの造りの技術でも、環境保護の技術でもありません。
その背後にある、モラル、志、
精神性の高さなのではないでしょうか。

 まったく同感です。日本人の特性は、モラル、志、精神性の高さなはずなのに、今は人間としてさえ扱わないような風潮がある。インターンというタダで使う労働形態は、弱者いじめの最たるもので、そこからは、恨み辛みしか残らない。経営は、儲かればいいというものでは、決してない。社会に貢献することで、利益が還元される。社会に貢献するとは、お客様の利益だけでなく、社員や従業員、従事者の生活を豊かにさせることも含まれている。

 小さな国、日本がやるべきことを忘れて、暴走している。先代から受け継がれたモラル、志、精神性の高さを失うかもしれない。アメリカよりも長い歴史と伝統を持っている国が、新興国アメリカの真似をして、国家を崩壊させるようなことがないように、みんなで力を合わせて頑張りたい。IT企業の経営者の方々こそ、『老舗に「日本人」を学ぶ時代へ』を一読されて、最強の企業を構築されることを望んでやみません。ある意味、社員は村役場の役人のような単調な生活に憧れるのかもしれません。結婚して、子育てをして、勤勉に働いて、年金をもらって余生を暮らすような生活に。日本は、きっと変わる。(2013.02.17 Kazumi inoue)

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