コーヒーを飲むと落ち着くのか、コーヒーを飲んでいる映画やドラマを見てそう思うのか、コーヒーのない生活は考えられない。日本茶は、ペットボトルで飲むのに、コーヒーは煎れ方にこだわって飲む。それだけ付加価値がある。においの多様性や産地の国の違いなどグローバルな点も魅力だ。日本茶だって、産地や茶葉や煎り方で別物になる。ただ、年寄りの好むイメージと高価すぎるイメージがある。決定的な違いは匂いや香りにあるのかもしれない。



 我が家では、高校生の息子が通称ブラックコーヒーと言われる、砂糖もクリームも入れないストレートコーヒーを好んで飲んでいた。それをみた妻が真似をした。そうしたら、私も同じようにブラックに変えた。変えてみてわかった点がある。砂糖は元々いていなかったが、クリームやミルクを入れていた。マクドナルドのコンビと言われるマフィンとコーヒーのセットがある。朝食限定だが、結構うまい。それを都内にクルマで行くときに、ドライブスルーで注文する。

 必ず、マイク越しに、「砂糖抜きで、ミルクを2個づづ入れてください」と頼んでいた。大概、聞き違えや気の利かない店員がいると、ミルクを2個袋に入れて渡したり、入れたものの砂糖も入れてあったりと小さなトラブルがあった。ブラックにするとそんな注文もいらない。ただ、個数だけを言えばいい。ストレスが消えた。おかげで、コーヒーも美味しく感じるようになった。たかがコーヒーだが、不平不満が多いとやっぱりまずく感じるものだと痛感した。

 そんな訳で、我が家はコーヒーメーカーでなく、袋入りのドリップコーヒーを使うようになった。これがやっかいで、コーヒーの粉を入れてある紙の容器の処理に困る。そのまま、捨てるとゴミ箱が湿ってしまう。第一、容器がお湯の中につかったままで、湯船につかったオヤジ状態になる。それを嫌って、私はシンプルにインスタントコーヒーにしている。お湯を注ぐだけでできるコーヒーもどきのやつだ。味は悪いが、早い、簡単、汚れないのがいい。中学、高校とこれにお世話になったので、不思議とふるさとの味がする。

 コーヒーだけも、様々な様式や飲み方がある。学生時代、スイスの田舎町にステイしていた頃、毎朝コーヒーが出て来た。コーヒーとパンだけしかないと言った方が正確かもしれない。そのコーヒーは、取れたての牛乳とコーヒーを両方ともあたためて、一緒にカップに注ぐものだった。これが絶品で美味しい。ミルクコーヒーである。これだけで栄養とカロリーが補給できる。だから、田舎の人たちは幸福な顔をしていた。いつも満足な顔だった。

 そんな贅沢な生活はないのかもしれない。地域や国や民族によって食事や飲み物は違っても、美味しくしようとする努力は一緒だ。わざわざまずくしたいという人はまれだろう。毎朝、毎日飲むものは、重要なものばかりだ。たまに飲むものは、それほど神経質になることはないが、毎日のものだけは、結構リスクが高い。長い年月に身体に蓄積する。だから、いいものを選ぶことも大切だと教わった。たかがコーヒー、たかがお茶だからこそ、こだわり続けるべきだと。(Kazumi Inoue)

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