ドキュメンタリー映画『ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの』は、アメリカや日本をはじめ、世界中で話題を呼んだ前作『ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人』の続編として作られました。

前作『ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人』は、NY
在住のアートコレクター夫妻、元郵便局員のハーブと図書
館司書のドロシーが、つつましい給料で世界屈指のアート
コレクションを築き、最後まで一点も売る事なく、全てを
アメリカ国立美術館に寄贈するまでを描いた物語です。
数多くの映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞や観客賞を
受賞した他、世界各国で劇場公開され、現在もアートフェア
や美術館などで上映が続いています。

日本でも2010年から2011年にかけて、全国50箇所を越える劇場で上映されま
した。東京では、半年に及ぶロングランとなり、ドキュメン
タリー映画としては異例の大成功を収め、数多くのメディア
で大きく取り上げられました。『ハーブ&ドロシー ふたりから
の贈りもの』は、夫妻の人生とコレクションのその後を追う、
いわば二人の物語の完結編です。NYの1LDKのアパートで
始まったささやかなコレクションは、半世紀を経て5,000
点近くまで増え、国立美術館でも収 蔵しきれなくなり、
全米50州に散っていきます。

この前代未聞のアート寄贈計画を、夫妻及びアーティストは
どんな思いで受けとめるのか? 地元の反応は?
そして、ついにコレクションの幕は
閉じられ、夫妻に別れの時が訪れるまでが描かれます。
前作と同様、一見難解で近寄りがたい現代アートの世界
を、ハーブ&ドロシーという類い稀なコレクターの視点と、
全米に散って行った二人の膨大な作品群を通して、ぐっと
身近に紹介します。「アートとは、一部の富裕層や知識人に
限られたものではなく、誰にでも広く開かれたものであり、
与え 、共 有 することで、さらに 豊 か な 体 験 が で きる」
『ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの』は、アートに
込めた二人のメッセージを、国境や時代を越えて伝えて
いくための作品でもあるのです。

Story

「NYの1LDKの部屋から始まった二人のささやかなプラン
が、やがて歴史に残る大事業に」
2008年春、前作『ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人』
が完成する直前のことです。二人はある計画を発表して世界
をあっと言わせました。「ドロシー&ハーバート・ヴォーゲル・
コレクション: 50作品を50州に(50×50)フィフティ・バイ・
フィフティ」と名付けたこのプロジェクトは、50作品を一括り
として、全米50州の各美術館に、合計2,500点を寄贈する
というもので、アメリカのアート史上でも前代未聞のスケール
で行われる寄贈プロジェクトでした。

その中には、ソル・ルウイット、リチャード・タトル、ロバート・マンゴールド、
ロバート・バリー、リンダ・ベングリスなど、20世紀を代表
する総勢177人のアーティストの作が含まれています。
ハーブ&ドロシーの物語は、今や現代のおとぎ話です。数千
点のアートで埋め尽くされたNYの1LDKのアパートは、
1980年代のアート界では、多くの関係者が一度は訪れる
巡礼地として知れ渡りました。

その二人が世界的に有名なコレクターとして、
後世に名前を残す結果となったのは、
最後一点も売らずにコレクションの全てをナショナル・ギャ
ラリーに寄贈したことがきっかけです。1992年に寄贈の
ニュースが世界を駆け巡った時、皆これが二人の物語の
ハッピー・エンドだと信じていました。

ところが16年後。ハーブとドロシーは、精力的に
コレクションを続けた結果、気がつく
と作品数は5,000点近くなっていました。これには、アメリカ
でも最大級の美術館である、収蔵先のナショナル・ギャラ
リーもお手上げ。引取れるのはおよそ千点が限界と判断し
ました。そこで、ハーブ&ドロシーとともに、作品の引取先を
探して行きます。これが、50X50プロジェクトの始まりでした。
映画『ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの』は、この歴史的
なアートの寄贈プロジェクトを中心 に展開します。

カメラが向かう先は、コレクションを受け取った全米各地の10の
美術館。ハワイやノースダコタ、モンタナなど、現代アートと
殆ど接点のない地方も多く登場します。大人もたじろぐミニ
マル・コンセプチュアルアートの前で、自由に、活発に想像を
めぐらせる子供たち。一方で「なぜこれがアートと言える?」
「こんな絵ならうちの孫でも描ける」とぶつぶつ唱える大人。
各地の反応を通して見えてくるのは、今、美術界が直面して
いる問題であり、挑戦でもあります。現代アートとは何か?
私たちの住む社会にアートは必要なのか? アートを、文化を
支援し、後世に残すためには何が必要なのか、と映画は
問いかけます。

また、夫妻と数十年にわたる交友を結んで来たアーティスト
たちは、この寄贈計画をどのように受け止め、彼らにどの
ような影響を与えたのでしょうか?二人のコレクションに所蔵
されているのは、実は有名なアーティストだけではないのです。
無 名ながら、夫 妻 の励ましによって創 作を続けてきた
チャールズ・クロフ、かつては一世風靡しながら、今はアート
界からはじき出されたマーク・コスタビなど、映画では、
多彩なアーティストの面々が登場。そして長年親しくつき
あってきたアーティストから、寄贈計画に対して意外な反応
が返ってくるのも見所です。

壮大な計画が進む一方で、高齢に達した二人は、50年前と
同じNYのアパートで、ひっそりとした年金生活を送っていま
す。すっかりパソコンの操作にも慣れたドロシーは、グーグル・
アラートで寄贈先の美術館がいつ展覧会を開催するのか
チェックし、車で移動できる範囲であれば、展覧会に足を
運んだりもします。コレクションを完結させるために、1点の
作品も売らないことを信条としていた二人は、全米にコレ
クションが散って行くことにどんな思いを寄せているので
しょうか。

二人は、世間一般の評価やアート市場の価値に関係なく、
自分達の目だけを信じて作品を買い集めました。そして、
全てのアーティストを分け隔てることなく、時には両親の
ように励ましながら親密な付き合いをしてきたのです。映画
では、アーティストの知名度と作品の価値の関係にも切り
込んで行きます。

そして、ついに二人の人生とコレクションに終止符が打たれ
る時が来ます。NYのささやかな1LDKのアパートからスタート
し、戦後最大規模の一つとなったコレクションと半世紀に渡る
二人のパートナーシップは、どのように終わりを告げるので
しょうか?

佐々木芽生 ささきめぐみ
監督・プロデューサー

青山学院大学仏文科卒。1987年渡米。以来NY在住。1990年
初め、ベルリンの壁崩壊をきっかけに、激動の東欧へ単独で渡り、
現地の様子を伝える写真とエッセイを読売アメリカで10週間連載
するなど、フリーのジャーナリストとして活動。1992年NHKニュー
ヨーク総局勤務。「おはよう日本」でNY金融情報を伝えるキャス
ター、世界各国から身近な話題を伝えるコーナー「ワールド・ナウ」
NY担当レポーター、ニュース・ディレクターなどを勤める。
1996年独立し、NHKスペシャル「世紀を越えて」「地球市場」「同時3点
ドキュメント」などの大型シリーズを中心にテレビ・ドキュメンタ
リーの取材・制作に携わる。2002年、映像制作会社・(株)ファイン・
ライン・メディア・ジャパンをNYにて設立。2008年、初の監督・
プロデュース作品『ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人』
を発表。同作品は、世界で30箇所を越える映画祭に正式招待
され、米シルバー・ドックス、ハンプトンズ国際映画祭などで、
合計5つの最優秀ドキュメンタリー賞や観客賞を受賞。

また、2009月6月、NYでの封切後、ドキュメンタリー映画としては異例
の17週を越えるロングランを記録。その後、全米60都市、100を
越える劇場、美術館で公開された他、カナダ、オーストラリア、
ニュージーランドで劇場配給された。日本でも、既存の配給会社
を通さず、自主配給によって2010年11月に、渋谷のシアター・
イメージフォーラムにて劇場公開。同劇場では、公開2週間の観客
動員記録を更新。歴代2位の興行成績を収めるなど異例の成功を
収め、日本全国では50館以上で公開された。その後も、モスクワ、
台北をはじめ、世界各国のアートフェアや美術館、TV局で上映・
放送されている。現在は、続編にあたる本作『ハーブ&ドロシー
ふたりからの贈りもの』を完成させた他、捕鯨問題をテーマと
した長編ドキュメンタリー映画『THE WHALE MOVIE』製作に
向けて取材を進めている。

[監督・プロデューサー]佐々木芽生
[出演]ハーバート&ドロシー・ボーゲル、リチャード・タトル、クリスト、ロバート・バリー、
    パット・ステア、マーク・コスタビ、チャールズ・クロフ、マーティ・ジョンソン 他
2013年/アメリカ/87分/カラー/英語/デジタル上映
[提供・配給]株式会社ファイン・ライン・メディア・ジャパン
[配給協力]ADEX 日本経済広告社、Playtime
[宣伝]Playtime
[協賛]三越伊勢丹/LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン/日興アセットマネジメント/日本M&Aセンター/ハイパーギア/グラフィス/両口屋是清/桂新堂

2013年3月30日(土)より新宿ピカデリー、東京都写真美術館他、全国順次ロードショー!
http://www.herbanddorothy.com/jp/

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で