おでんを作っている。おでんには、思い出が多い。昔は、お祭りでおでんが売られていた。いつも兄と「ちくわ」を買って、からしをたっぷり塗って食べ歩くのが唯一に楽しみだった。母には、お腹を壊すからやめろと言われたが、食べた。時代は変わり、息子はおでんネタで「ちくわぶ」が大好きだ。江戸っ子かと突っ込みたくなるほど好きだ。


 渋谷駅前に、屋台のおでん屋があった。年老いた女将が、経営していた。アルミ製の熱燗用の容器から分厚いグラスに注ぐのが大好きだった。たぶん、1合はないが、表面張力を使ったパフォーマンスは、見事だった。たまに、酔った客同士で喧嘩が始まる。友達のテッちゃんとケンヤは、身長が185センチくらいある。椅子に座っているとわからないが、二人が外に出ただけで、酔い客が醒めて静かになった。

 常連になってから、女将が、「どんなに(みそぎを)とられても、お金は貯まるよ」と言ったのが印象的だった。他は、事務所で買わされるけど、牛すじだけは自分で作って持ち込むと言った。まじめにやっていれば、マンションくらい買えるとも言われた。事実、マンションを1棟買ったというから驚いた。牛すじを見るたびに思い出す。おでん一つでも、いくらでも思い出がある。

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