我々自身が日本のいいモノ・コトを知らなかったと!!
第34回「毎日ファッション大賞」表彰式が11月2日、東京・恵比寿のEBiS303で開催された。日本のファッションの歩むべき方向性を模索する上で、何らかの寄与を果たせればとの願いを込めて創設したという「毎日ファッション大賞」を受賞するということは、デザイナーにとって最も名誉なことだ。大賞は、FACETASM (ファセッタズム) のデザイナー、落合宏理氏が受賞した。「第31回毎日ファッション大賞」で新人賞・資生堂奨励賞を受賞したばかりだと本人も語るように、急成長のデザイナーである。

毎日ファッション大賞

 PLASTICTOKYO(プラスチックトーキョー)のデザイナー今﨑契助氏が新人賞・資生堂奨励賞、デニム素材の神様のような存在の貝原良治氏が鯨岡阿美子賞、将棋棋士 第74期名人の佐藤天彦氏が話題賞、創業40周年を迎えたビームスの「BEAMS JAPAN」が特別賞を受賞した。中でも、株式会社ビームス 代表取締役 設楽洋氏のコメントが感動的だったので紹介する。

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 「創業40周年を迎えた節目の年に名誉ある賞を頂きまして、非常に感激しております。1976年に6.5坪のスペースで、アメリカンライフショップ・ビームスという形で、オープンしまして、この40年間、アメリカだけでなく、世界中のいいモノであるとか、コトであるとか、それを日本に紹介することをしてきました。そして、40周年を機に、もちろん世界のいいモノを今後も続けてまいりますけど、今後は日本のいいモノ、いいコトを世界に発信していくことも、双方向でやっていこうと思いまして、今回の「BEAMS JAPAN」というプロジェクトをスタートしました。」と語った。

毎日ファッション大賞

 そして、「構想は10年以上前からありまして、私自身もそうですが、各バイヤーが世界を飛び回って、色んなものを見てくる時にですね、自分たちで気付かない、気が付いてみたMADE IN JAPANだったモノがたくさんありました。海外のいいモノに対しては、非常に目利きも多いですし、経験も豊かなのですけれども、我々自身が日本のいいモノ・コトを知らなかったなと、灯台下暗しだったなと、いう思いを何度もしたことがございます。例えば、10年ほど前に、ロンドンのサビルロードのものすごく続いてテーラーに行って、100年前の生地見本、スワッチを見せて頂いた時にですね、素晴らしい素材のシャツの素材があり、『これ素晴らしいですね』と申し上げたら、それは、日本の着物の素材だよと言われました。」と「BEAMS JAPAN」プロジェクトの構想に関するエピソードを語った。

 また、「我々自身が近くにあるモノ・コトを気付いてなかったんだなと再確認しまして、この日本の素晴らしい伝統工芸であったり、あるいはポップカルチャーであったり、コンセプトは巧からオタクまで。それが出来るのは、それを継承出来るのは、ウチじゃないかという思いで、JAPANというステージを用意しました。そして、我々だけでは出来ないので
、TEAM JAPANという職人、作家の方であったり、アーチストの方であったり、デザイナーの方であったり、素材メーカーの方であったり、色んな形の各ジャンルの方々とTEAM JAPANを結成しまして、日本を世界に出して行こうというプロジェクトです」と「BEAMS JAPAN」の設立に関する経緯を語った。

 「我々の店はステージです。先月は、1階で神戸市とのプロジェクトをやっておりました。今月からは、別府温泉とのプロジェクトをやっておりまして、「BEAMS JAPAN」の1階には別府温泉の足湯がおかれております。国内、海外の方が、そこで靴を脱いで、足湯につかっているという店のプロジェクトをやっております。今後も、色んな職人の方、あるいはデザイナーの方、あるいはメーカーの方とチームを組みまして、日本と海外をつなぐ架け橋になっていこうと思っております。5年後10年後、日本が世界に認められるような、さらに日本のセンスが世界に伝わるようにして行きたいと思います」と熱い思いを語って挨拶を終えた。

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 ややもすると、人気者や有名人のための大賞やアワードになりがちな授賞式だが、「毎日ファッション大賞」は、選考委員だけでなく、有識者も多く加わり、厳選された人物や企業を選んでいる。選考者、全員の名前が呼ばれた。寂しいのは、話題賞にファッション関係者がいない点や女性が皆無だという点だ。それも、地味だが、練に練った結果だと思う。ネット社会だからこそ、一時の流行に左右されない頑固さも必要だ。半年もすれば、話題に人気者が、名前どころか存在さえ忘れてしまう時代だ。いつまでも、心に残る人選こそこの賞の重みを感じる。ビームスの設楽社長の言葉通り、日本のセンスが世界に伝わるようなデザイナーが選出されることを望む。

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受付に飾られたお祝いの花輪

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PLASTICTOKYO(プラスチックトーキョー)のファッションショー

【関連資料】
2016年(第34回)「毎日ファッション大賞」
大賞 落合宏理(おちあい ひろみち FACETASM)
新人賞・資生堂奨励賞 今﨑契助(いまざき けいすけ PLASTICTOKYO)
鯨岡阿美子賞 貝原良治(かいはら よしはる カイハラ株式会社 代表取締役会長)
話題賞 佐藤天彦(さとう あまひこ 将棋棋士 第74期名人)
特別賞 ビームス「BEAMS JAPAN」)

FACETASM (ファセッタズム)
PLASTICTOKYO (プラスチックトーキョー)
株式会社ビームス 代表取締役 設楽 洋(したら よう)

【MAINICHI FASHION GRAND PRIX】第31回毎日ファッション大賞受賞式

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