第59回カンヌ国際映画祭 コンペティション部門正式出品作品。
ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督最新作。
ダルデンヌ兄弟特集上映から見る新作『午後8時の訪問者』。

カンヌ国際映画祭で2度のパルムドール大賞のほか、数多くの賞を獲得している世界的な巨匠ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督。異例の7作品連続カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品となった彼らの最新作『午後8時の訪問者』が 4月8日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開。

午後8時の訪問者

午後8時の訪問者

本作は、謎の死を遂げた“名もなき少女”に何が起こったのかを探るサスペンス。「もしかして何かが変わったのではないか」と思わせる人生の転機はどこにでもある。その転機を探るうちに危険に巻き込まれ、意外な真相にたどり着く…。これまでにない極上のヒューマン・サスペンスが誕生しました。

本作の公開を記念し、アンスティチュ・フランセ東京にて特集上映を開催!ダルデンヌ兄弟の代表作品のほか、兄弟に迫ったドキュメンタリー作品や現在のフランスきっての実力派人気女優アデル・エネルの劇場未公開作品など、見逃せないラインナップとなりました。

最終日4月5日『少年と自転車』の上映後に、特集上映のプログラミングをされたアンスティチュ・フランセの坂本安美さんが、ダルデンヌ兄弟の魅力を語ってくださいました。

◎経験が身体に刻まれていくダルデンヌ作品の登場人物たち

ダルデンヌ兄弟の映画は“身体の映画”だと私は思っています。登場人物たちの身体や動きを通して、彼らの気持ちを感じ取るのです。そして彼らの経験は、身体に刻まれます。たとえば『少年と自転車』のシリルは、自分を捨てた父親を知り合った年上の不良っぽい男の子の中にみて、彼のために悪いことをします。その結果、最後に救いはあるけれど、決してその経験を忘れさせない、背負って生きていかなければならないということを伝えている。だから彼らの映画のラストは“最後であり、あらたな出来事のスタートライン”でもある。『午後8時の訪問者』のラストにも、主人公が新たなスタートラインに立っていると私は感じました。最新作『午後8時の訪問者』の主人公はお医者さんですが、まさに身体が重要な要素であり、彼女は患者さんたちの身体の変化を感じ取り、事件を解決していく。そういった形でも「身体」が重要なファクターになるわけですよね。

◎アクションでつなぐ映画たちにハラハラドキドキしっぱなし!

今回、改めて作品を見返して、つくづく“アクション”の監督だと実感しました。一つのショットの中にきちんとアクションがあり、ストーリーがそぎ落とされていてシンプル。それなのにハラハラドキドキ、続きが気になってしょうがない作品ばかりですよね。ヒッチコックさえ垣間見える。ご本人たちはジャンル映画を撮っているわけではないと仰っているそうですが、こんなにすごいジャンル映画を撮れる監督は、今、世界にほとんどいません。ハワード・ホークスの犯罪映画をも彷彿します。

さらに『午後8時の訪問者』で、素人探偵が知らぬ間に事件に巻き込まれていて解決しようと動くのは、ハードボイルドの要素も含んでいると思います。ダルデンヌ兄弟は、何かのひとつの物をキーに置いて繰り返していくことが多いですよね。例えば『少年と自転車』では自転車、『午後8時の訪問者』では扉を繰り返し見せる。扉を“開ける/閉める”ことで「人と出会う」というアクションが起こり、緊張感を持たせて物語が進んでいきます。小さなところにたくさんの仕掛けをつくっているのもダルデンヌ兄弟の作品の見どころです。二度や三度見て頂いても楽しめると思いますね。

◎ダルデンヌ兄弟が描く女性とは

ダルデンヌ兄弟の映画に出てくる女性たちはカメラのような存在だと思います。『ロゼッタ』のエミリー・デュケンヌ、『ロルナの祈り』のアルタ・ドブロシ、『少年と自転車』のセシル・ドゥ・フランス、『サンドラの週末』のマリオン・コティヤール、そして『午後8時の訪問者』のアデル・エネル…、彼女たちは何かを信じて動いていきます。女性が本能的に動ける存在だということをダルデンヌ兄弟は知っている。そんな彼女たちを通して出会う人たちが見えてきて、その場所に光があたる。人と人を繋ぐ媒介の役割を女性に担わせていると思います。

『午後8時の訪問者』の主人公を演じたアデル・エネルは、いわゆる綺麗でグラマーな化粧品のモデルをするような女優とはちょっと違います。いまの時代、よく“女子力”とか“女っぽくあれ”なんて言葉もあって、それってどうなの?という意見も出てきていますが、まさに彼女はそういった概念を覆す新しい魅力をもった俳優です。男女の性の垣根をちょいと超えてしまうような、媚びない女。ひとりで凛として動ける。そんな強さが、ダルデンヌ兄弟の目にとまったのだろうなと思います。これまでのフランス女優でもなかなかいなかったタイプの女優ですね。彼女はフランスでとても期待されている女優なので、日本でも人気が出ると嬉しいですね。

ダルデンヌ兄弟を包括的な魅力を語ってくださった坂本さん。そして世界が注目し、“凛とした女性”として本作の主演に選ばれたアデル・エネルの演技にもぜひご注目ください!。

坂本安美さ
坂本安美さん(アンスティチュ・フランセ プログラミング主任)

【イベント概要】
日時:4月5日(水)トークイベント 20:30~21:00
  (19:00-20:27 『少年と自転車』上映後)
場所:アンスティチュ・フランセ東京 (新宿区市谷船河原町15)
登壇者:坂本安美さん(アンスティチュ・フランセ プログラミング主任)

午後8時の訪問者 午後8時の訪問者

午後8時の訪問者 午後8時の訪問者

監督・脚本:ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ 撮影:アラン・マルコアン 編集:マリ=エレーヌ・ドゾ
出演:アデル・エネル、オリヴィエ・ボノー、ジェレミー・ レニエ、ルカ・ミネラ、オリヴィエ・グルメ、ファブリツィオ・ロンジォ―ネ
© LES FILMS DU FLEUVE – ARCHIPEL 35 – SAVAGE FILM – FRANCE 2 CINÉMA – VOO et Be tv – RTBF (Télévision belge)
2016 年/ベルギー=フランス/106 分/カラー/La Fille Inconnue(原題)/
提供:ビターズ・エンド、KADOKAWA、WOWOW

http://www.bitters.co.jp/pm8/
Facebook
Twitter :@Dardenne_cinema

© LES FILMS DU FLEUVE – ARCHIPEL 35 – SAVAGE FILM – FRANCE 2 CINÉMA – VOO et Be tv – RTBF (Télévision belge)
午後8時の訪問者 ポスター

監督・脚本:ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ
出演:アデル・エネル オリヴィエ・ボノー ジェレミー・レニエ ルカ・ミネラ
後援:ベルギー大使館 提供:ビターズ・エンド、KADOKAWA、WOWOW
2016/ベルギー=フランス/106分/カラ-/La Fille Inconnue

4月8日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー!

公式サイト



アデル・エネル(Adèle Haenel、1989年1月1日 – )
フランスの女優。父はオーストリア人の翻訳家、母は教師である。13歳の頃、セーヌ=サン=ドニ県モントルイユ にある演劇クラスに通う。
2012年、ベルトラン・ボネロ (Bertrand Bonello)監督の映画『メゾン ある娼館の記憶』でヨーロッパ・フィルム・プロモーションのシューティングスター・アワードをベルリンにて受賞、そして、再びセザール賞有望若手女優賞にノミネートされた。
その後、2013年の映画『スザンヌ』でセザール賞助演女優賞、2014年の映画『ミリタリーな彼女』でセザール賞主演女優賞をそれぞれ受賞した。

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